昼食を食べ終わり、6レースが終わった時点
で収支はマイナス1000円。
13時過ぎに友人が来た。家で神宮大会を
見ていたら白熱していたので、少し遅れた
という。
彼は高校の同級生で、私と同じく巨人と
競馬が好きな奴だったので、私が上京して
からは一緒に後楽園のウインズや競馬場に
よく足を運んだ。
今でも野球を見に行ったり公園でキャッチ
ボールをするが、競馬を見るのは久しぶりだ。
7レースのパドックへ行く。
彼も久しぶりに馬を見るので、
食い入るように馬を見つめる。
「とても良い馬がいた。今の自分は当たる気
しかしない。」友人も私と同じようなことを
言っていたので、笑ってしまった。
このレースは上位人気が割れていおり、
本命馬を絞ることができなかったので、
とりあえずとリーディング上位の矢野騎手が
乗る馬の単勝に賭けた。
友人も色々買っていたが、詳しくは覚えて
いない。
…が、このレースは伏兵の6番人気の馬が
逃げ切って1着。二人とも予想は外れた。
この1着になった馬、実は馬体重は前走から
プラス18キロで、パドックでも明らかに
太めに見えたので、軽視していた。
この7レースの結果が、友人の心を狂わせた。
続く8レース。
個人的には1番人気の出来が良く、ここは
堅い決着になるだろう、と予想しながら
パドックを見ていたが、友人がとんでもない
ことを言いだした。
「俺、あの馬に複勝5000円入れるわ。」
あの馬とは、前走から馬体重プラス10キロの
大型馬「モズハッピーロード」。
「今日はパワーのある馬に有利なのかも
しれない。」友人はそう解説した。
この勝負、分は悪くなかった。
この馬は地方に転入してからは複勝率は
100％。つまり走ったレース全て3着以内には
来ているのである。
しかも2番人気なので、複勝でも1.5倍くらい
は付く。1着なら2倍近くの払い戻しが期待
できるので、5000円の複勝ならだいたい
7500円～1万円弱の払い戻しだ。
しかし、これまで一度もそんなに大金を
1レースに賭けたことが無かったので、
私は当惑してしまった。
手前の金だからどう使おうと勝手だが、
それにしたって強気すぎる。
当の友人は既に購入を済ませており、
ひとり舞い上がっている。
私も数百円の馬券を買い、8レースへ
向かった。
各馬ゲートに収まって…
ゲートが開きスタート。
その一瞬で、友人の5000円馬券は紙屑に
変わった。
スタートで出遅れ最後方からの競馬。
末脚があるタイプではあったが、
7着に終わった。
友人の方を見る。その笑顔は
引きつっていた…。
気を取り直して、本命の10レース、
交流重賞の「浦和記念」だ。
今回は小倉と金沢でレコード勝ちを収め
上り調子のメイショウカズサ率いるJRA勢と
地元浦和競馬の雄・タービランスとの対決
という様相であった。
パドックから馬が出てきた。これまでの
レースの馬とは仕上がり方が全然違う。
中央馬も地方馬も、みんなツヤツヤで
筋肉の付き方等も段違いだ。
予想をしてみる。今日はなんだか外枠に
目が行く。アメリカンフェイスに注目した。
初の地方競馬ということもあり、
中央馬ながら人気が無くオッズもおいしい。
好位から外差しが決まれば…と考え、
メイショウカズサとのワイド一点勝負。
しかし、アメリカンフェイスは外を回らされ
3コーナー辺りで失速。
結局1着メイショウカズサ、
2着にタービランスという結果に終わった。
私は収支マイナス2000円に終わり、
友人は…やめておこう。
競馬は程よく楽しもうね！
